Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「もっと踊れ、御神楽武士め」
池上は、片膝を立てて、微笑しながら、自分の前へ迫って来る追手へ、独り言のように呟いた。兵頭との間は、三間余りも離れていたから、五人の輦台は、二人を、左右へ放して、別々に討取るように、楔形になって、追って来た。その、真先にいる武士は、輦台の上へ立上って、刀を振りながら
「早く、早く」
と、叫んで、手を、脚を動かしていた。そのたびに、人足は、顔を歪めて、舌打をしながら
「危い」
とか
「畜生っ」
とか、怒鳴った。それにつづく四人は、輦台の手すりにつかまったり、立ったりして、刀が届く距離になったら、一討ちにしてくれようと、身構えていた。
兵頭は、手すりへ、片脚をかけて、鞘ぐるみ刀を抜き取って、左手に提げながら、少しずつ近づいて来る討手へ
「周章てるな。周章てるな。日は長いし、川原は広い。輦台の上で、余り四股を踏むと、人足が迷惑するぞ」
「黙れっ」
二つの距離は、三間近くまで縮まって来た。討手の人々は、襷へ一寸手をかけてみたり、目釘へしめりを、もう一度くれたりして、両手で、刀を構えかけた。
「池上っ」
「おい」
「やるか」
池上が頷いた。そして、袴の股立をとり、襷をかけて、刀へ手をかけて、立上った。