Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
兵頭の輦台は、もう、七八間も行きすぎていた。
「池上っ」
と、いう声と
「あとへ、あとへ」
と、兵頭の叫んでいるのが聞えた。池上は、右手を振って
「一人でよい、一人でよい」
と、叫んだ。
「小癪なっ」
輦台の上から、一人が叫ぶと、川の中へ飛び込んだ。人足は、臍のところまでしか水に浸っていなかったから、浅いところであったが、水流は烈しかった。その侍は、二三間、よろめいて、ようよう、押流されて、立上った。丁度その時、池上に川へ落された侍も、立上った。二人は、刀を抜いて、川下から、迫って来た。
「いけねえ」
人足が叫んだ。そして、二三尺進むと、乳の上まで水のある深いところへ入った。
「待てっ」
一人が、水中から、池上を目がけて、刀を斬り下ろした刹那、一人の人足はびっくりして、肩から輦台を外した。と、同時に、池上は、輦台の上から、川上の方へ飛び込んでいた。
兵頭は、じっと、川面を眺めていた。二人の追手は、胸まで来る水の中を、よちよちと、兵頭の方へ進んだ。三台の追手は、無言で、川中にいる二人の後方を、横を、兵頭の方へ迫りながら、川下へ浮んで出るべき池上の姿にも、気を配っていた。