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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

家に火事が無ければ、百年でも、二百年でもそのまま心に秘めて、ただ、人知れず伝えるばかりじゃ。今度、調所殿の命を受けて、思い立ったのも、この秘呪を、秘呪の効顕を、広く天下に示さんがため――天下は広大で、効顕さえ現せば、後継者も現れようし、門人等も懸命になろう。調所殿の前ながら、世の中は、実学と理学ばかりで、理外の理が、侮蔑されている。わしは、最後の兵道家として、命にかけて、この理外の理を示したい。天下のためでもなく、御家のためでもない。己の職のために、悪鬼となっても、秘呪の偉効を示したい。もしも、呪法のためか、刺客のためか、死ぬか、殺されるか、何れにしても、長くはあるまいが、お前は、調所殿の仰せの通り、町人になる覚悟で、御奉公をせい。決して、父の後を継ぐとか、わしのように、流行物に反対するとか、愚かな真似をするな。万事、調所殿の御指図に従って、世の中に順応せい。わしの子で、兵道の家に生れたが、決して、わしを見習うな。これが、お前に与える、わしの遺言じゃ。忘れるな」

静かに、だが、力のある言葉で、牧は教訓した。

「さあ、もう、八軒家やで」

船べりに凭れて、ぼんやりと、綱手の横顔に見惚れている朋輩の肩を揺さぶった。