Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
短い言葉であったが、すべての最後のもの――決心、覚悟、生別などが、この中には、含まれていた。綱手は、俯向いた。胸が騒いだ。
「御用人様へ、御目にかかりに通ります」
と、門番に挨拶して、広々とした玄関の見えるところの左手にある内玄関にかかった。取次に、名越左源太からの書状を渡して
「御用人様へ」
と、いうと、暫くの後に、女中が出て来て、薄暗い廊下をいくつも曲り、中庭をいくつか横にしてから、陰気な、小さな部屋へ通された。二人は、入ったところの隅にくっついて坐った。
女中の足音が、廊下の遠くへ消え去ると、物音一つ聞えない部屋であった。二方は、北宋の山水襖、床の方にも同じ袋戸棚と、掛物。障子から来る明りは、二坪程の中庭の上から来る鈍い光だけであった。
「よう、覚悟しているであろうな」
「はい」
七瀬は、そういって、暫くしてから
「こう云うのは、何んであるが――母の口から云うべきことでないが――もう、或いは、一生の間、逢えぬかと思うから、申しますが、お前――益満さんを」
綱手は俯向いて、真赤になった。七瀬は、ちらっと、それを見たが、見ぬような振りをして
「――ではないかと、母は思いますが」