Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
、足、手が申すことを聞くまいと思われる。ただ武士の一念として、二人、三人を対手に――これでも負けを取ろうとは思わぬが、又、勝てるという自信も無い。勝てる、とは、卑怯ないい草じゃ。わしは、生きて戻る所存は無い。牧さえ刺殺せば、全身膾になろうとも、わしは本望じゃ」
八郎太は、床柱に凭れて、首垂れて、腕を組んだまま、静かにつづけた。
「然し――きっと、牧を刺せぬともいえぬ。刺せんかも知れぬ。その時に、小太」
八郎太が、小太と、大きくいったので
「はい」
八郎太は、小太郎の顔を、睨むように見て
「お前は、逃げんといかんぞ。わしを捨てて、再挙を計るのだ」
「然し――」
「心得ちがいをしてはならぬ。父を捨てて逃げても、所詮は、牧を討てばよい。二人が犬死をしては、それこそ、世の中の物嗤いだぞよ」
厳格な眼、言葉、態度であった。小太郎は、それを聞くと、なぜだか、父の死が迫っているように感じた。
女中が、廊下を走って来て
「赤紙どすえ」
と、障子を開けた。小太郎が躍り出るように立上って、受取った。八郎太が、赤紙へ印判を押して、女中に戻した。八郎太は、手紙の裏を返して見て
「袋持から――」