Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
師匠、ささ、ずっと、これへ」
「はい」
富士春は、上ろうともしないで
「一体、何うするんだい」
低い声で、鋭く庄吉に云った。
「うめえ魚が、手つかずであるんだ。御馳走しよう」
南玉は、戸棚から、大きい皿を出して、畳の上へ置いた。
「返事をしないのかい」
富士春が、下から、又、庄吉を咎めた。庄吉は
「帰って話そう」
と、土間へ降りかけた。
「ここでいいよ。帰ると、うるさいよ。お上り。南玉さんにも、妾ゃ、聞いてもらうよ」
「聞くぞ、聞くぞ。わさびが利くぞ」
南玉は、刺身のわさびを、なめてみた。
「大丈夫に利く。さあ、こっちい来て、食べながら、一喧嘩。へへん、出来立ては、喧嘩のあとで環が鳴りって、とかく、痴話喧嘩と申すものは、仲がよいと、始まりやす。仲人を、あの茶瓶がと、寝て話し、桃牛舎南玉が一つ、この茶瓶になりやしょう。どうぞ、こちらへ」
「御邪魔させて頂きます」
富士春は、上りながら、突立っている庄吉の袖を捉まえて、引張った。
「何しやがるんでえ」
庄吉が振り切るはずみ、袖口が裂けた。
「おやっ、大層、手荒いのね。そうだろうよ、新情人の前じゃあ、威勢のいいところを見せたくなるもんだからね」