Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、思うと、一面の草原になって、父は、頭から、肩から、血塗れになっていた。深雪は、父に縋りついて、斬られるものなら一緒に、殺されるなら一緒に、と、手を突き出して、父へ縋ろうとしたが、足が、何うしても動かなかった。
全身が、縛られているように、締めつけられているように――悲しみに、心が裂けそうになったので、兄を呼ぼうとしたが、すぐ、近くに小太郎が、いそうな気がするのに、声も出ないし、小太郎も現れなかった。
(お父様が、斬られていなさる)
と、狂う頭の中で絶叫した。八郎太は、ふらふらと、血塗れのまま、灰色の中に、漂っていた。深雪は、その父の手にでも、着物にでも、縋りたいような気が、全身に充ちて来ると同時に
「お父様っ」
と、叫んだ。
はっとして、気がつくと、かたい蒲団の手ざわり、用心のために結んだ裾、隣りの朋輩の寝息――。
(夢だった)
と、思ったが、何かしら、不慮のことが、父に起っているようで、すっかり、眼が冴えてしまった。真暗な部屋の中で、時刻も、何も判らなかった。ただ、夢にみた、父の眼の怨めしい表情だけが、眼の底に灼きついていて
(もしかしたら――)