Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
よい、功徳になりまする」
「許しましょう」
「有難うござりました。齢寄りの手前として、それが何より、有難うござりました」
お由羅は、調所も、老いてしまったものだ、と思った。
仏壇の中の黄金仏は、つつましく、燈明の光に、微笑んでいた。白い菊の供え花、餅、梨、米――それから、新しい金箔の光る先々代、島津重豪の「大信院殿栄翁如証大居士」と書いた位牌が、中央にあった。
金梨地の六曲屏風で、死の床を囲って、枕元には、朱塗の経机が置いてあった。そして、その上には、紺紙金泥に、金襴の表装をした経巻一巻と、遺書を包んだ袱紗とが、置かれ、その机と、枕との間には、豊後国行平作の、大脇差が、堆朱の刀掛けに、掛かっていた。
調所は、白麻の袷を重ね、白縮緬の帯をしめて、暫く、仏壇の前で、黙祷していたが、手を延して、経机の下から、金の高蒔絵をした印籠を取出した。そして
「お流れ頂戴仕ります」
と、小声でいって、仏壇に供えてあった水を取下した。印籠を開けると、黒い、小さい丸薬が、底の方に、七八粒あった。調所は、それを、掌の上へ明けて、暫く眺めていた。部屋の中を、静かに、見廻したり、俯向いたり、又、丸薬を眺めたり――そして、微笑して、口のあたりへ、掌をもってきた。