Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
素性も、碌に判らぬうち、肌を許して、その不行跡を、恥じさえせず、運命?――不埓なっ、何を申す」
袋持は、顔を赤くした。
「暫く待て、百城を、連れて参る。百城は、恥を心得ぬ奴ではあるまい」
袋持は、口早に、鋭く、こういって、立上った。綱手は、眼を閉じた。
(お父様、冥途で、お詫び、申しまする)
涙が、又、湧き上ってきた。
「百城――女は、契ったと申す。それが、真実か――聞きたい」
袋持は、昂って来る心を押えて、静かにいった。綱手は俯向いていた。月丸は、腕組して、眼を閉じていた。
「何うじゃ、百城」
百城は、思いがけぬ詰問に、綱手が、何う答えたのか? 何故、こんなに早く、暴露したのか判らないので、黙っていた。
「貴公は、この娘の素性を、存じておろうな――又、己の素性も、存じておろうな。それでいて、契るなど――それでも、武士か」
月丸は、眼を開いた。そして、袋持へ、冷やかな閃きを与えて
「存じている」
「存じていて、何故、契った?」
「惚れた」
綱手は、月丸の、情熱的な、何をも恐れないような強い言葉に、うれしさが、いっぱいになった。
「惚れた?――そうか――よく申した」