Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
だが、玄白斎の痩せた身体の力は、二人の手に余った。二人は、不思議な力に、脅えるような、気持になってきた。
「乳木が消える」
市助が、一人に、こう注意した刹那、二人の手の内へ、倒れかかる枯木のように、玄白斎が、凭れかかった。二人が、手に力を入れて、支えると、今まで、あの力の籠った声を出し、あの力で二人を引きずっていた玄白斎が、眼を濁らせ、口を半分開いて、荒い呼吸をしているだけになっていた。
「先生、如何なされました」
玄白斎は、力のない眼を開くと、すぐ、元のように、空間を見つめた。そして、何か口の中でいっていたが、
「未だっ」
と、叫んだ。二人が、押えようとした瞬間、玄白斎は、戒刀を振りかざすと、凝視めていた一点へ、斬りつけた――二人が
「危いっ」
と、絶叫した。同時に、玄白斎は、段木の燃えた中へ、踏み入って、よろめきながら、刀を取落していた。二人が、倒れかかるのを、抱きとめて
「先生」
と、叫んで、抱き上げると、二人が、よろめくくらいに、急に身体が軽くなっていた。
「いけないっ。皆を呼べっ」
「医者を」
と、二人が怒鳴った。一人が、走って出た。玄白斎は、灰白色の頬をして、二人の腕の中に、眼を閉じていた。