Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「済まぬ。借りるぞ。ついでに、水をすぐにな」
「へえ」
「恐ろしゅうはない。斬られた者を、介抱するのじゃ」
船頭は、黙って引込んだ。小太郎が、蝋燭を持って、二人の横へ来ると、綱手は、白い眼をして、脣を痙攣させていた。襟から、胸へ、肩へ、血が流れていた。着物は、土まみれになっていたし、髪の根は落ちて、毛が顔へかかっていた。
小太郎は、今まで、憤って、死ね、不覚者、そんな不覚者は、斬られた方がいいのだ、と思っていたが、その姿を見ると、その憤りの上へ、悲しさと、可哀そうさとが、漲り上って来た。
「深手か」
と、いって、月丸の上へ、膝をついて、蝋燭を差出すと、月丸は、蒼白な顔をして、額に、脂汗を出しながら
「許して――」
と、いったまま、俯向いて、頬も、脣も、ぴくぴく引きつらせていた。月丸は、綱手の口へ薬を押込んでから、活を入れた。小太郎は
(助からぬらしいなら、生き返さない方がいい。苦しますのは、いじらしい)
とも、思ったが、生き返らせて、一言でも、言葉を交したい、とも、思った。
綱手の眼に、黒い瞳が、ちらっと、現れると共に、大きい息をして、身体を、手を、脚を、首をもがいた。