Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
富士春は、うるさくもあったし、そうした茶番に、腹立たしさを感じた。それで、黙って、又、俯向くと
「益満だあ」
手拭をとると、益満であった。頭を、町人風に結んで、前掛をしめ、刀も差していなかった。
「おや」
富士春は、益満なら、いろいろ聞きたいこともあり、聞いてほしいこともあると――笑顔になって
「まあ、そのお身なりは?」
「押掛け聟になろうと――何うじゃ、よく似つくであろうが――」
と、云いながら、上って来た。
「火も、おこさずと――」
富士春は、火箸で、小さく消え残っている炭火を集めて
「久しゅう見えずに――何うなさいました?」
益満を、見上げた眼は、いつものような色っぽさと同時に、縋りたいとしているような色が現れていた。
「いろいろと、庄吉同様、又、富士春同様に、苦労をしてのう」
「そして、また、そのお身なりは?」
「無断で屋敷を飛び出したゆえ、殿への詫なり、二つには又、庄吉の身代りとして、この家へ入り込むからは、こうした粋な姿になって――」
「庄吉の身代りに入り込むって、願ってもないことでござんすが、そりゃ、庄吉も、承知の上で?」
富士春は、火種へ、眼を落して、心の動揺を見せまいとしていた。