Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
二人は、馬を、急がせて、通りすぎようとして、七瀬の眼と合った。四ツ本は、じろっと、眺めたままであった。
(百城様が、四ツ本などと、一緒に――何んのために――)
頼もしい、味方であると信じていた百城が、四ツ本と、一緒なので、七瀬は、不愉快さを感じながら
(何をしに、こんなところに――)
と、思った時、百城が
「七瀬殿」
馬上から叫んで
「四ツ本氏、手前、すぐ、つづきますゆえ」
と、声をかけて、馬上から
「ちと、お話が――」
七瀬は
「後程、ゆっくりと、ちと、取急ぐ御用を達しに参りますゆえ――」
と、歩き出しながら、振向いて、去ろうとした。百城は、手荒く、手綱を引いて、馬の首を、七瀬の方へ向けつつ
「いや――一言」
馬の首を、立直して、小走りに行く七瀬の後方から
「綱手殿が――」
七瀬は、振向いて
「ええ?」
百城は、じっと、七瀬の眼を見つめて、暫く、黙っていたが
「綱手殿のことを、御存じでは?」
「綱手が?」
四ツ本が、遠くで、馬をとめていたが
「牧っ」
と、叫んだ。
「只今」
(牧?)
七瀬は、牧と呼ばれて、何うして、百城が返事をしたのか、判らなかった。
(牧?――もしかしたなら、仲太郎の倅の)