Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
そして、鞘ぐるみの脇差を突き出して
「この家の主人に聞えたなら、縄目の恥を見ますぞ。はしたない」
廊下から
「百城様」
と、女中が呼んだ。その途端
「えいっ」
七瀬が、再び斬りつけた。百城が、払った。かんと、強い響きがして、七瀬の左手が、刀の柄から離れた。七瀬は、蒼白になって、ヒステリカルな眼を光らせて
「おのれ――よくも、娘を――」
七瀬は、二度の失敗に、取乱しかけてきた。及ばぬ腕だと、知ると、一太刀も斬らないで、自殺しなくてはならぬ口惜しさに、脣も、身体も、拳も、脚も、わなわな顫え出してきた。廊下に人の走って来る音がした。と同時に、七瀬は、両手に力を込めて、斬りつけた。躱した。畳みかけた。躱した。百城は、足も動かさずに、巧みに、上半身を躱していたが、七瀬は、足許を乱して、百城の躱す巧みさと、自分の刀の短さとに、苛立ちながら、身体を浮かして、次の刀を、手いっぱいに――腰までも延し切って、斬りつけた途端――さっと、百城の身体が、沈むと、右手の鞘が、七瀬の両腕の下を、払い上げた。襖が開いて
「何事じゃ」
四ツ本が、刀を持って入って来た。そして
「無礼者っ」
と、叫んだ。