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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

深雪は、自分が殺されるよりも、辛いだろう。人間ってやつの、運ってものは、一つ悪くなると、何処まで、曲り出すものか、判らねえ)

庄吉が、入口を出ると、向い側から、大家が、顔を出して

「もしもし」

と、呼んだ。

「何んですえ」

「何っかへ、お出かけですかい」

庄吉は

(何を、いってやがるんだ)

と、思った。そして、返事もしないで、歩き出すと

「もしもし一寸」

大家は、草履を、引っかけて、走り出して来た。そして、庄吉に

「係り合いの人が、勝手に、出歩いちゃあ、私が、迷惑します。御奉行所から、御達しのあるまで、動かないで、いてもらわんと。もし――」

庄吉が、とんとん歩いて行くので、大家は、こう云って、庄吉の袖を掴んだ。

「何?」

「何、って、困りますよ」

「うるせえや」

庄吉は、袖を払ったが、臂から下の無い腕では、掴んだ手を、振切ることが、出来なかった。庄吉は、かっとなった。

「放せっ、この、ぼけ茄子」

「何を」

「何も、くそもあるもんか。この、珍毛唐あ」

「おい、誰か、来てくれえ」

庄吉の、凄い見幕に、大家は、手を放した。庄吉は、右袖をひらひらさせながら、走り出した。

「仕様んねえ、畜生だな」