Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
一つ、益満の畜生に、ずばりと、一思いに、斬られてえや。さよなら、幾度いっても、同じだ、今度は、本当に――さよなら」
庄吉は、立上った。
「行くか」
と、小太郎が、見上げた。
「ええ――師匠」
「うん」
「あばよ」
庄吉が、一足踏み出した時
「庄さん」
と、深雪が、叫んで、膝を向けた。涙のたまった眼で、庄吉を見上げて、手を頭へやって、簪を抜いた。そして
「形見に――」
小太郎は、ちらっと見たが、黙って、腕を組んだ。庄吉は、深雪と簪とを、見較べて、暫く、突っ立ったままでいたが
「下さるんですかい、あっしに?」
「何も――お礼を――これを、せめて形見に――」
「ええ」
と、頷くと、庄吉は、はらはらと、涙を落した。そして、それを、手で払って、膝をつくと
「おもらい――申しやす」
左手に受けると、暫く、押し頂いていた。簪の足に、沁んでいる油は、女の情熱と、肌とを思わせるように粘っていた。
「頂きやす――有難うごぜえやす」
庄吉は、眼を閉じて、簪を、頂いて、暫く、じっとしていたが
「あっしゃねえ――」
と、云って
「いいや」
と、独り言を、云って、首を振った。そして
「云わねえったら、口を割らねえのが、仲間の作法だ――」