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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

月丸は、そう決心した。そして、鏡を、絹へ包みかけて、もう一度、自分の顔を、写してみて

(よく、剣難の相とか、水難の相とか、ということがあるが――)

と、じっと、自分の顔を見ていると、何かしち、いつもよりも、険しいものが、眉に、眼に現れていた。

「剣難の相」

と、呟いて

(対手から、理不尽に、斬られるようなことは、そう、人間には、起らない筈だ。己の心から起したことによって、剣難がくるものとすれば、わしの、近頃の心は、何んとなく、自分を斬り、人を斬るという心だ。これが、剣難であろう。気の短くなったのが、眉間に、現れている)

そう、月丸が、感じた刹那

(綱手の呪い)

と、頭の底深く、閃くものがあった。

(綱手の鏡で、そういうことを、考えるのは――それが、霊の仕業というのであろうか)

月丸は、鏡の裏を、眺めた。蓬莱山が、浮彫りにしてあった。その図を見ると同時に、胸が、じりっと、苦しさに、圧迫された。

(嫁入の品として、求めたのであろうに)

と、思うと、その苦しさが、悲しさを混えて、だんだん強くなってきた。

「愚にもつかん」

と、いって、月丸は、頭を振った。そして、鏡を、手早く、行李の中へ、入れてしまった。