Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
深雪は
(声がした)
と、感じた。だが、それが、自分の名であるか――何んであるかさえ、判らないくらいに――微かにしか働かない頭は、記憶も、判断も無くなっていた。だが、もう一度
「お嬢さあーん」
と、呼ばれた時
(ああ、誰か、遠くで、自分の名を呼んでいる)
と、感じた。そして、その、呼んでいる声が、南玉の声だと、判ると同時に
(気を失った)
と、知った。そして、そう判ると共に
「庄吉」
と、口を動かした。頭の中、眼の奥には、血潮の散乱と、剥き出した眼球、破れた着物、掴み合う手、その手の中の乱髪、刀、踏みにじられた草、折れた灌木――そんなものが、入り乱れていた。
(ああ、二人のあの格闘、あれは、何うなったか)
深雪は、脚に、腕に、痛みを感じながら、不安と、恐怖を、全体に溢れさせて、眼を開くと、南玉の顔と一緒に、頭の中を、眼から突貫くような太陽の烈しい光を見た。そして、眼を閉じた。
「お嬢さん、しっかり――」
「庄吉は?」
深雪は、眩暈を感じながら、細く眼を開いて、庄吉が、何うしたか、見ようとした。
「気がつきましたよ」
と、南玉が、誰かにいった。
「庄吉っ」
深雪は、そう叫んで、庄吉の答えのないのを思うと