Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
(これだけ云えば、判りそうなものであるのに――そして、判ったなら、せめて眼だけぐらいは開くのが人の情であるのに――)
と、思った。そして
「実に、御愁傷なことで――御子息が、先日、不慮の死を遂げられたよし、聞き及んでおりますが――」
老人は、何処まで云えば、眼を開くか、意地のようなものが、出てきた。
「ははあ」
牧は、そういって、眼を開いた。だが、瞳にも、眉にも、脣にも、何んの動きも、現れもなかった。
(勘ちがいではあるまいか)
と、老人は、思った。そして
「この奥の叡山で、その百城――様かな――御子息が、町人に手傷を受けて、それが因で亡くなられたと、山でえらい評判が、京へも聞えておりますが、貴殿の、御子息に、間違いなしとしたなら、詮議もせにゃならず、始末も、せにゃならず、それで、参ったのでござるがな。一つ、所司代へ訴え出て、その手からも探索させ、又、当方からも、手をつくして――」
「御好意は、忝のうござるが、御打ち捨ておき下さるよう――」
「然し、余のこととちがい――御遠慮には、及ばん。その町人を――」
「町人に手傷を受けた不出来者などは、子でござらん」
「御尤もながら、そりゃ、貴殿の御気性として、さもあるべきところでは、ござれど、親の情として――」