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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「万事、手筈がととのったから、明日にでも、薩摩屋敷へ、一同で入りたい」

日下部の背の上で、横で、奥の間で

「占めた」

とか

「わーっ」

とか、いう叫びと一緒に、畳を踏む音、柱を擲る音

踏破る千山、万岳の煙

狭い家の中が、叫喚と、どよめきとに充ちた。一人が

「騒々しいっ」

と、怒鳴った。日下部は、刀を提げて、奥へ通った。そして

「益満は、近日に帰る。各々は、薩藩士として――」

と、云いながら、御門通用証を出して

「これを、銘々にもって、名越殿小屋へ通ると、門番へ申して、通行してもらえばよい」

小さい、焼印を捺した木の札を一束にしたのを出した。

「騒々しいねえ」

二階から、富士春が、降りて来て、上り口の敷居のところへ立って、日下部の顔を、じっと、眺めていた。日下部はその顔を、一寸見て

「これが、益満のか?」

と、一人に聞いた。

「左様」

日下部が

「益満は、すぐ戻るが、長々と、乱暴者をあずかってもろうて、忝ない。都合にて、明日中に、引払うことになったが、今後とも、よろしく頼む」

と、口早に云って

「斉彬公の帰国の供をしている例の、お由羅一派を、血祭として、そのまま、揃って、脱藩し、京、江戸と二手に分れて、上って参る手筈になったが――」