Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「内談がある。ずっと、近う」
「はっ」
岩下が、口の中で、答えた。そして、身体を、左手へ向けて、斉彬の居る部屋の方へ、膝を動かした。侍が
「ずっと、お進み下さりますよう」
と、云った。四人は、平伏しながら、膝で、少しずつ進んで、次の間の敷居を入ると、又、平伏した。そして、岩下が、斉彬のいると思える正面へ
「麗しき御尊顔を拝し奉り、恐悦至極に存じ奉ります。早速、拝謁仰せつけられ、冥加至極、恐れ入り奉ります。某は、岩下佐次右衛門にござりまする」
「某は、西郷吉之助――」
「心得ておる。早速参ってくれて、忝ない。ちと、密談があるので、ずっと、これへ進んでくれい。伝次、襖を閉めて――」
侍が
「はっ」
と、云って、襖を閉てた。二三尺余り、進んだ四人は、ようよう頭を上げて、膝へ手を置いた。斉彬の姿は見えたが、顔を見ることができなかった。
「吉之助」
「はっ」
西郷は、ちらっと、斉彬の顔を見ると、すぐ、又、頭を下げた。
「又、一段と、肥ったのう。皆、なかなか、元気で頼もしい」
斉彬のそういう声に、いつものような――いつかの時のような、元気が無いようであった。岩下が、そっと、斉彬の顔を見ると、何っかに、疲労の影と、力の無さとが、滲み出ているようであった。