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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

次の間へ入ると、薄暗い中に、将曹と、平とが、坊主だの、近習だのと一緒に、詰めていた。久光の影に振向いて、頭を下げ、眼を上げたそれらへ、久光は、蹴倒し、踏みにじりたいような、怒りとも、憎しみとも、判らぬものを感じながら、その眼を睨みつけて、病間へ入ろうとした。将曹が、周章てて立って来るのへ、烈しく手を振って、制した。そして、病間へ入ると――其処に立っている屏風、煎薬の臭、恐ろしいような沈黙――それから、夜具の端、そんなものが、悉く、久光の心に、身体に、冷たいものを、押しつけた。

一足進めると、医師の顔が――それは、久光でさえ、病の障りになる、とでも云ったような烈しい眼をして――だが、お叩頭をした。二足目には、もう一人の医師の顔が――その顔は、自分が死病に罹ったように、沈鬱で、久光が、そうさせたかのように、恨めしそうな表情をして、挨拶した。久光は、その二人の医師の表情に

(兄は危いらしい)

と、感じた。

(もし、危いと、きまっていたなら――)

久光は、もう一足進んで、兄の顔を見るのが、自分の死よりも辛いように、心臓をしめつけられた。だが、その次の瞬間

(よかった)