Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「行けっ。一走りだ」
「遠くはない」
和田が
「先生っ、若い者が、牧氏のあとを追いよりますが」
玄白斎は、眼を開いて
「そうらしい」
と、静かにいった。立とうともしなかった。
「わしには、牧が斬れぬ。然し、あの若い者なら、斬れよう。余人が斬るなら、斬ってもよい。わしには、仁十郎――斬れぬ」
俯向きがちに、髯もしごかないで、玄白斎は袴の下へ、両手を入れてやさしくいった。表の若者達は、爺の出した茶も飲まないで、すぐ登って行った。話声だけ、暫くの間聞えていたが、玄白斎が顔をあげて
「いいや――和田」
と、大きい声をした。
「あの無分別な、若い者では、覚束ない。牧は斬れぬ。止めるがよい」
「止めに参りましょう」
仁十郎が立上った。
「待て――何んとしたものか、高木、わしには判断がつかなくなって来たが――ここで、朋党の争いを起しては、斉興公のお耳に入った時、斉彬公方の人々は、極刑に逢おう――矢張り止めなくてはならぬ。高木、仁十と二人で追っかけて、引止めて参れ。呪法での調伏は、呪法にて破りうる。玄白斎の命のある限り、そう、牧の自由にはさせぬ」
仁十郎と、市助とは、頷くと同時に立上った。