Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、小太郎は、明るい声をして
「お前が、天下をとるか? わしが、天下を取らせるか。今度は負けぬぞ」
と、いって、笑った。長屋の表へ出ると、賑やかな話声と、三味の音とがしていた。
島津将曹は、小書院の窓際の、机の前に坐って――時々、暗くなってくる燭台の灯を、自分で、摘みながら、考え込んでいた。
斉彬が臨終の時にまで、何一つ、自分に対して、咎めの言葉さえ洩らさなかったということが、将曹の心を打ち砕いてしまっていた。
斉彬が世継ときまった時に、将曹は、勿論、家老職を、剥奪されるものだと、考えていたが――そして、斉彬の前へ、呼び出された時には、その覚悟だけで、いっぱいであったが、斉彬は
「父上に対していたと同様に、わしにも、輔佐してくれればよい」
と、いって、将曹の覚悟の、遣り場を、無くしてしまった。だが、将曹は、それに対して
(何か、肚に一物があるのであろう)
と、いろいろのことを考えて、十分に警戒をしていたが、それからすぐに続いて来た病の床ででも、斉彬は、何一つ、将曹に対して、その罪を責めるらしい言葉を洩らしはしなかった。
(えらいお方だ)
と、将曹は、心の底から、しみじみと、感じることが出来た。