Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.401 Zeichen · 15 Bildschirme
エビルは腕も脚も飽く迄太く、膂力に秀でた女だったのである。エビルの多情は衆人周知の事実だったにも拘わらず、彼女の数々の情事は、結果から見て、正しいと言われなければならない。ヘルリスに於ける勝利という動かし難い輝かしい証拠があるのだから。斯うした実証を伴う偏見ほど牢乎たるものはない。実際エビルは、彼女の現実の情事は常に正義であり、夫の想像された情事は常に不正であると固く信じていた。哀れなのはギラ・コシサンである。妻の口舌と腕力とによる日毎の責苦の外に、斯かる動かし難い証拠を前にして、彼は、本当に妻が正しく己が不正なのかも知れぬという良心的な懐疑に迄苦しまねばならなかった。偶然が彼に恵まなかったなら、彼は日々の重みのために押潰されて了ったかも知れぬ。
その頃パラオの島々にはモゴルと呼ばれる制度があった。男子組合の共同家屋に未婚の女が泊り込んで、炊事をする傍ら娼婦の様な仕事をするのである。其の女は必ず他部落から来る。自発的に来る場合もあり、敗戦の結果強制的に出させられることもある。
ギラ・コシサンの住んでいるガクラオの共同家屋に偶々グレパン部落の女がモゴルに来た。