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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんきょくき

南極記

久生 十蘭

Lesen Sie 南極記 (なんきょくき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.753 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

てこそ、探検といえるのだろう。気密室の春のような気温の中におさまり、こうして漫然と空の上を飛びまわっているが、人間の行跡としては、蒙昧無頼と呼ばれた日本の探検家にすら及ばない。空寂への大機動……かくいう自分は、航空術というものの可能性の上に、ふんわりと押し乗せられ、南極の頂点へ運ばれている一種の荷物のようなものにすぎない。誰かが「バードは探検家の珍品だよ」といった。苦い味が毒のように心の上にしたたる。子供のとき、将来の希望はとたずねられると「探検家」と答えた。極地探検は久しい以前からの志望だったが、足を負傷して「歩く探検家」になれなくなったので、飛行機で宿志をとげようとしていることが、そんなにも滑稽なのだろうか。この前の北極往復飛行では「空の方へ」という本を書いた。こんどは「発見」という随想をものにするはずだった。構想はもう出来あがっているが、いったいなにを発見したというのか。発見したものは、南緯八十度〇五分に立っていた日本の国旗だけだった。

バード大佐は、目を搏つような旗の焔の色を瞼にうかべていたが、そのうちに、今度の探検で、これこそは真の意味の偉大な発見なのだと思いついた。