Japanische Klassiker mit Furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lesen Sie 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.251 Zeichen · 94 Bildschirme
餓鬼も畜生も芸なら好い、が、奈落へ落ちさがるのが可恐いんだ。
私は能役者で、今度だって此地へ来たのさ。謡の師匠なら、さき様の歓迎会や披露どころか。私の方から、顔出しもすりゃ、挨拶にも廻って、魚市で、お悦さんに鮒を強請る隙に、祝儀づつみの十や十五は懐中へ入れて帰って、トラホームの療治代ぐらい、即座に弁ずるんだが、どうだい。」
八郎は胸をしめて妹を見た。
「きみ、分ってくれたかい。」
お久という人は、きょとんとしていた。
「あんさんは、ようものを饒舌ってや。」
(向の山に猿が三匹)の小猿にされて、八郎はぽかんとした。
身勝手な事を……しかも酔っていて饒舌ったのである。実は友だちの私にもよくは分らない。が、その人となりと、境遇との婦人には、私の分らないほども分らなかったろうと察しる。
「どうだい、綺麗な奥さん――いかがです、姉さん、お悦さん。」
遠慮なく、箸をとっていて、二人とも揃って箸を置いたが、お悦さんの方は一口飲み込むと、酒は一滴も喫けない婦の、白く澄ました顔色で、
「ニャーゴ!」
「こいつは不可い。」
「お、小父さんお客様。」
お母さんに肖てこれも敏捷い!……折から、店口の菊花の周囲へ七八人、人立ちのしたのをちらりと透すとともに、雪代が迅くも見てとった。