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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどものかなしみ

号外・少年の悲哀 他六篇

国木田 独歩

Lesen Sie 号外・少年の悲哀 他六篇 (こどものかなしみ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.584 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも何かしておられるだろう。」と石井翁はじろじろ河田翁の様子を見ながら聞いた。そして腹の中で、「なるほど相変わらずだな」と思った。

「イヤとてもお話にもなんにも……」とやっぱり頭をかいていたがポケットから鹿皮のまっ黒になった煙草入れとひしゃげた鉈豆煙管とを取り出した。ところがあいにくと煙草はごみまじりの粉ばかり、そのまままたポケットにしまいこんだのを見て、石井翁は「朝日」を袋とも出して、

「サアおすいなさい。」

「イヤこれはどうも」と河田翁は遠慮なく一本ぬき取って、石井翁から火を借りた。

この二老人は三十歳前後のころ、ある役所で一年余り同僚であったばかりでなく、石井の親類が河田の親類の親類とかで、石井一家では河田翁のうわさは時おり出て、『今何をしているだろう』『ほんとにあんな気の毒な人はない』など言われていたのである。

「しかし遊んでもいなさらんだろうが。」と石井翁はどこまでも心配そうに聞く。

「イヤとてもお話にもなんにも……」

これが河田翁持ち前の一つで、人に対すると言いたいことも言えなくなり、つまらんところに自分を卑下してしまうのである。

「あなたがわたしの家へ来てからもう五年になるなア」