Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

風船が地上に着くのが早いか、彼の奇妙な仕事が終るのが早いか、命がけの競争だ。

風船は動かぬようでいて、いつの間にか、群衆の頭上に、倍の大きさまで近づいていた。距離の接近に比例して、薄茶色の巨大な怪物は、ジリリ、ジリリ、ふくれ上って行くように見えた。

やがて、とうとう、丸屋根の縁とすれすれまで、引きおろされた。もうこっちのものだ。可哀相に、賊は今、どんな気持でいるだろう。群衆の心に、鼠取り機械にかかった鼠を眺める様な、淡い同情の念さえわき上った。

「ア、あいつ、何をやっているのだ」

やっと、一人の警官が、賊の異様な動作に気づいて叫んだ。

「右手をしきりに動かしている。何だかキラキラ光っている」

「ナイフだ。ナイフで繩を切っているのだ」

「いけない。早く、早く、あいつが繩を切り離さぬ内に……」

警官達が、間近くなった風船を見上げて、口々に呶鳴った。巻取り作業の人々は、それを聞くと、一層力を加え、速度を早めて、繩を巻取る。

風船が屋根の縁にぶつかって、ユラユラとゆれた。賊のハンモックが異様に震えた。

と同時に、太繩の繊維の最後の一筋がプツリと切れて、風船は、気違いの様に、ブリブリとお尻をふりながら、大空へと舞い上った。