Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
だが、蝋細工の技術は、我国でも、ちょっと想像も及ばぬ程、進歩しているのだ。ショウウィンドウの蝋人形が、本当に生きて見えるのも、お菓子や、果実の蝋細工が、本物と寸分違わぬのも、何にでも化ける、蝋というものの、不気味な性質を語るものだ。
現に俳優は、自分の顔と生写しの、蝋製の仮面を使って、度々一人二役の舞台を勤めている事実さえある程だ。
「これが賊の正体だ。長い間、唇のない顔で、我々をおどかしていたのは、こいつなんだ」
恒川氏は、はぎ取った、蝋面を手にしたまま、賊の顔を凝視していった。
誰も、その顔を知らなかった。三十五六歳の、無の男だ。これという特徴もない。その顔の所々に、熱い蝋にやけどをして、異様な斑紋が現れている。
「三谷さん、君は岡田道彦の顔を記憶しているでしょうね」
恒川氏がたずねた。
「エエ、決して忘れません」
三谷青年は、幽霊の様に、真青な顔をして、力なく答えた。
「で、この男が、その岡田道彦ですか」
「イヤ、違います。僕は岡田だと信じ切って、明智さんと彼のアトリエを調べに行ったりしたのです。岡田が薬で顔を焼いて、あの恐ろしい変装をしていたのだと思い込んでいたのです。