Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
何年も何年も胴忘れしていたことを、ポッカリ思い出した感じだ。棺の中の闇と静寂とが、彼女の心に、不思議な作用を及ぼしたのだ。
三谷と全く同じ体臭の、もう一人の男とは、一体誰のことか。
読者は、この物語りの初めに、倭文子が青山の怪屋にとじこめられたことを記憶されるであろう。そこの地下室で、唇のない男に襲われた時、彼女が相手の身体から、全く初めてではない、よく知っている誰かの体臭を感じた。という事実をも記憶せられるであろう。
倭文子は当人と度々会いながらも、他事にまぎれて、今の今までそのことを忘れ果てていたのだ。それを、今、異常に鋭くなった嗅覚が、ふと思い出したのだ。
あれは三谷の体臭であった。唇のない怪物は、三谷青年と全く同じ体臭を持っていたのだ。
「マア、なんて馬鹿馬鹿しい暗合でしょう。本当に本当に、私の鼻は、気が違ってしまったのだわ」
鼻ばかりではなく、頭までも狂ってしまったのではないかと、あまりのことに、倭文子は空恐ろしくなった。
だが、読者諸君、この二つの不思議な匂いの一致は、屍臭と井戸の中の匂い、三谷の体臭と唇のない男のそれとの二重の符合は、果して倭文子の錯覚に過ぎなかったであろうか。