Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
「すると君は、この建物に、何か秘密のカラクリがあるというのですか」
恒川氏が、けげんらしくたずねる。
「そうでなければ小川正一と名乗る男の死体紛失といい、倭文子さんの不思議な逃亡といい、解釈のしようがないではありませんか」
「しかし、警察では、小川の事件の折、邸内の隅から隅まで、一寸もあまさず、念に念を入れて検べ上げたではありませんか」
「サア、それが素人の検べ方であったかも知れませんね。手品師の秘密は、やっぱり手品師でなければ分らぬものですよ」
「というと、何だか、君にはその秘密が分っているような風に聞こえますね」
恒川氏は、ある予感におびえながら、でも、聞き返さないではいられなかった。
「エエ、ある程度までは」明智は少しも語調をかえないで答える。
「では、なぜ、今までそれをだまっていたのです。そんな重大な事を……」
警部は思わず烈しい調子になる。
「イヤ、時期を待っていたのです。迂かつにしゃべっては、却て相手に用心させるばかりですからね」
「成程、で、その時期は一体いつ来るとおっしゃるのですか」
「今日です。今がその時期です」明智はこの重大な事柄を、やっぱりニコニコ笑いながらいっている「いよいよ唇のない男を捕える時が来たのです。