Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
殺人事件というのは、汚ならしいものときめてしまっていた。
それが、今目の前に、一種の苦悶のポーズを作りながら、立っている被害者達は、氷柱のにじにつつまれて、犯罪とか、殺人とか、死骸とかいう観念からは、ひどく縁遠い、一種の美術品の如く、世にも美しいものに見えたではないか。
彼はほとんどこうこつとして、それが恐るべき犯罪の結果であることも、そこに当の犯人がいることも、一瞬間忘れ果てて、すぐれた絵でも眺める様に、美しい花氷に見とれた。
だが、次の瞬間には、彼は犯人の着想のあまりの恐ろしさに、身ぶるいしないではいられなかった。
倭文子と茂少年とは、生きながら、氷にせられてしまったのだ。彼等は水中にとじこめられ、その水が刻一刻冷気をまして、ついにこおりつくまで、どの様な思いをしたことであろう。イヤ、まさかこおるまで生きてはいなかったであろうけれど、つめたくつめたくなりまさる水の中で、呼吸困難にもがきながら、彼等は犯人の目的が何であるかを悟っていたに違いない。
死体の有様が、美しければ美しいだけ、この殺人方法はむごたらしいのだ。警部は、いつか氷柱にとざされている美しい金魚を見て、それを客間に飾っている主人の残酷さに驚いた経験を思い浮かべた。