Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
「ところで、その唇のない男は、一体何者だと思います。あなた方は全くお心当りがないのですか」
明智は、相手の心の奥底に潜んでいるものを、見通している様な調子で尋ねた。
「アア、若しや、あなたもそれをお気づきなすったのではありませんか」
三谷は、ギョッと恐怖の表情を浮べて、明智の目色を読みながらいった。
「実は、まだ誰にも話したことはありませんが、私はある恐ろしい疑いを持っているのです。払のけても、その悪夢の様な疑いが、頭の隅にこびりついていて、離れぬのです」
彼はそこまでいって、ふと口をつぐみ、あたりを見廻した。文代も、隣室に退き、客間には、主客二人切りだ。
「誰も聞いているものはありません。で、あなたの疑いというのは?」
明智が先を促した。
「例えばですね」三谷は何かいいにく相に、「硫酸か何かで、ひどく焼けただれた皮膚が癒着するのには、どれ程の日数がかかりましょう。半月もあれば十分ではないでしょうか」
「そうですね。半月位のものでしょうね」
明智は、何ぜか、面白くてたまらぬといった調子で答えた。
「すると、ある恐ろしい想像が、成立つのです」
三谷は青い顔をして話しつづける。