Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
第四場
鈴代 嬉しいわ。兄さん。
松田 早くよくなって。早く帰って来なさいよ。迎いに行くよ。
福井 さア出かけよう。
ト福井と松田そっと涙を啜り楽器を取上げる。
舞台暗転。
第四場
同じアパートの一室。一箇月程たった或日の午後。福井夜具をたたみ毛布を窓に干している。松田はシャツのボタンをつけようとして針のメドに糸の通らぬ体。
松田 鈴坊がいてくれるとわけはねえんだが、男ばっかりじゃ始末がつかねえ。アいたい。
ト針をさした指をなめる。
福井 今頃はどうしているだろう。あの病気は。直ぐに直る病気じゃないからな。
ト茶棚の上に置いてある女の写真を手に取り小声に唄いながら眺めている。アパートのお神さん下手より出で、
お神 福井さん。室代に電燈料を貰いに来たよ。今月から電燈料は倍になったんだよ。
福井 そうかい。ありさえすればいくらでもいいがね。今月は天気がわるいんでカラッきし稼げないんだ。半分上げるから後は暫く待ってもらえないかね。
松田 天気がわるいばかりじゃない。彼女がいなくなってから毎晩の上りも半分せいぜいだ。女がいるのと居ないのじゃ大変なちがいなんだよ。
お神 もうかれこれ一ト月になるかね。