Japanische Klassiker mit Furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme
「いや、そうでない、そうでない!」と、小平太はさも苦しそうに顔面神経を引釣らせながら、ようよう口を切った。「この前来た時、お前に未練があって死にきれないように言ったのは、ありゃわしの嘘じゃ。わしはやっぱり自分の命が惜しかったのだ。命惜しさに、どうしても死ぬ覚悟ができなかったのだ。おしお、堪忍してくれ、俺はこういうやくざな臆病者に生れついたのだ!」
おしおは思いも懸けぬ男の言葉に、ただもう訳も分らぬような顔をして、相手の顔を見返していた。
「ただ俺はこの臆病な心に打克って、立派に死んでみせようと、どれだけ心を砕いたことか。お前を手に懸けようとしたのも、そなたに未練があるというよりは、せめてお前でも殺したら、もう後へは退かれぬようになって、未練なわしの心にもどうぞ死ぬ覚悟がつこうかと、それを恃みにあんな真似をしてみたのだ。が、生れついて臆病なわしには、さあ殺せと身体を突きつけられては、手も下せず、せめて大石殿に二人の仲を打明けて、こうこういう訳だと申しあげてしまったら、その打明けたということが力になって、義理にも後へは退かれまいと、またそれを恃みに帰って行った。