Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

彼にはこの女を手に懸けるなぞということはできそうにもなかった。が、できなければどうしようというのだ? もう一日経てば、否でも応でも白刃と白刃と打合う中へ飛びこまなければならぬ身ではないか。こんなことではならぬならぬと思いながら、思えば思うほど腕が萎えるような気がして、どうにもならない。彼はただ暗がりの中にまじまじと眼をいていた。

そのうちにどこかで一番鶏が鳴いた。

「もう夜が明けるのかしら?」

彼は夜着をはぐってもう一度顔を出した。が、宵まどいした鶏でもあったか、つづいて啼く鳥の声も聞えなかった。

「そうだ、今のうちに決行しなければ、俺はいよいよ不義者になってしまうのだ!」

彼は一思いにがばと跳ね起きて、いきなり壁ぎわに寄せておいた小刀を取るなり、すらりとその鞘を払った。そして、行灯の灯影に曇りのないその刀身を透してみた。新刀ながら最近研師の手にかけたものだけに、どぎどぎしたその切尖から今にも生血が滴りそうな気がして、われにもなく持っている手がぶるぶると顫えた。

「あなた、お目覚めになりましたか」と、不意に背後からおしおが声を懸けた。

小平太はぎくりとして、思わず振返った。