Japanische Klassiker mit Furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme
なるほど、吉良邸に入りこむということは、九死に一生の危険を冒したものかもしれない。が、九死に一生でも、一生は一生だ。十が十の死ではない。そこに一つだけは、とにかく、生きられるかもしれないという宛がある。俺はその一つを宛にして吉良邸に入りこんだのだ。あの場合、俺はけっして本当に死ぬ覚悟なぞしてはいなかったのだ。けれども、今夜吉良邸へ斬りこんだら、それこそ本当に十が十の死だ! 公儀の手に召捕られて、お仕置場へ引きだされたら、どんなことがあっても免れようはない。牛や馬のように、首玉へ縄を結えつけておいて、むざむざと屠られるのだ。それはあまりに怖ろしい、あまりに人間性を蔑ろにしたものだ。そんな怖ろしい犠牲を主君は家来に向って要求することのできるものだろうか。家来に扶持を与えておけば、その家来からそんな人間性を奪うような犠牲を要求してもいいのか。なに、殿の御馬前に討死せよというのなら、俺は立派に死んでみせる。けれども、けれども、今夜吉良邸へ討入ることだけは、俺にはできない、俺にはどうしてもできない!
「なに、ほかの連中は皆忠義の士と言われたさに、名という餌に釣られて、眼を瞑って死の関門へ飛びこもうとしているのだ。