Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よつやかいだん

四谷怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 四谷怪談 (よつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.260 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

伊右衛門は美男でその時が三十一であった。お岩の家ではお岩の母親が出て挨拶したがお岩は顔を見せなかった。伊右衛門は不思議に思ってそっと又市に、

「どうしたのでしょう」

と云うと、又市は、

「あいにく病気だと云うのですよ、でも大丈夫ですよ、すこし容貌はよくないが、縫物が上手で、手も旨いし、人柄は至極柔和だし」

と云った。伊右衛門は女房は子孫のために娶るもので、妾として遊ぶものでないから、それほど吟味をするにも及ばないと思った。この痩浪人は一刻も早く三十俵二人扶持の地位になりたかったのであった。

双方の話は直ぐ纏まった。伊右衛門は手先が器用で大工が出来るので、それを云い立てにして御先手組頭三宅弥次兵衛を経て跡目相続を望み出、その年の八月十四日に婚礼することになり、同心の株代としてお岩の家へ納める家代金十五両を持って又市に伴れられ、その日の夕方にお岩の家へ移って来た。

お岩の家では大勢の者が出入して、婚礼の準備を調えていたので、伊右衛門は直ぐその席に通された。そして、その一方では近藤六郎兵衛の女房がお岩を介錯して出て来たが、明るい方を背にするようにして坐らしたうえに、顔も斜に向けさしてあった。