Japanische Klassiker mit Furigana
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かいそうろく
回想録
高村 光太郎
Lesen Sie 回想録 (かいそうろく) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.774 Zeichen · 71 Bildschirme
祖父は気の毒な人で、子供の時から非常な苦労をした。その父親、つまり私の曾祖父にあたる人は、嘉永にはならぬ位の徳川末期の時分で、丁度その当時流行した富本節が非常に巧く、美声で評判になったものらしい。それで妬まれて水銀を呑まされたとか言うことだ。その為に声は出なくなる、腰は立たなくなる、そのせいかどうかわからないが一種の中風になった。祖父は小さい時からその父親の面倒をみて、お湯へでも何処へでも背負って行ったと言う。商売の方は魚屋のようなものだったらしいが、すっかり零落し、清島町の裏町に住んで、大道でいろいろな物を売る商売をして病気の父親を養った。紙を細かく折り畳んだ細工でさまざまな形に変化する「文福茶釜」とか「河豚の水鉄砲」とか、様々工夫をしたものを売った。そんな商売をするには、てきやの仲間に入らなければならぬ。それで香具師の群に投じ花又組に入った。そのことは、父の「光雲自伝」の中には話すのを避けて飛ばしているが、――そうして祖父は一方の親分になった。祖父は体躯は小さかったが、声が莫迦に大きく、怒鳴ると皆が慴伏した。中島兼吉と言い、後に兼松と改めたが、「小兼さん」