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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかげっと しなあちこち

国枝史郎歴史小説傑作選

国枝 史郎

Lesen Sie 国枝史郎歴史小説傑作選 (あかげっと しなあちこち) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.334 Zeichen · 121 Bildschirme

Aozora Bunko

広大無辺の大河揚子江は僕等の船を呑んでもその両岸を我等に示さなかった。ただ水の色が世にも不気味な壁土色をなしているので夫れと知ることが出来るばかりだった。江上を航行すること数時間、いつか船は揚子江の支流黄浦河の中へ這入っていた。河幅が狭まるに連れて両岸の風景が僕等の前に展開されて来た。緑青を塗ったような楊柳、楊柳の間に隠見して見える支那家屋――その支那家屋の美しさは、翼を刎て宙へ舞い上がるような形をなしている黝色の屋根と、それを支えている白亜の壁との調和にあるね。但しそういう美しさを備えている家主はブルジョアの家屋か、旗亭であることを知らなければならない。

戎克の美しさを知ったのも此時だよ。蓆のように見えるその帆も船首ばかりが変に盛上って見えるその船体も、何んと此処で見れば調和的で美しくあることか。そういう戎克が我等の船の左右を往来しつつあり、その戎克に混じって帆無き普通の小舟が、支那舟夫によってノタリノタリと漕がれてと蠢き廻り居り、その周囲を千鳥に似た水鳥が飛び巡りつつあった。岸は極めて低く、いまにも水に浸されようとする如くに見え、その岸の彼方はひたすらに青く広漠たる平原と云うのが僕の眼に映じた風景だった。