Japanische Klassiker mit Furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Lesen Sie 土城廊 (トソンラン) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.752 Zeichen · 52 Bildschirme
二
「う、わっしあ、丁元三でごぜえますだ。う、始めてお目にかかるでがす……」
と、得意な所を一くさりやったので、みんな上を下へとあっはは腹をゆすぶって笑い合った。
その日元三は少々不機嫌になって帰りながら、やはり婦は先達の嬶に限ると独りごとを呟いていた。
二
毎日のように降り続く霖雨期にしては、珍しい程星のきらめく夜だった。所々土城の上では土幕民達が車座をなして夕涼みをしている。古釘のように曲った老人の首や、蚕のように跼っている吃男の背中や、まどろんでいる婦の胸倉や、蒼白い先達の吊上った肩を、切傷のような月が薄淡く照らした。誰かが瞼を上げると悲痛な熱を帯びた灰色の目がじろりと光る。
元三爺はずたりずたり先達一座の方へ上って来つつ、
「何さ話してるだかね」と訊ねた。「――今日はわっしあ偉えものに乗ったで。あの街のでっかい店な、一階で乗ったら、うふふ、すーと飛び上るでねえか……」
だがその間に流れている或る険しいものに気附いて、爺はふいにぐっと口を噤み婦の傍へ静かに腰を下ろした。
暫く座が白けた。
穴蜘蛛のように土幕にばかり蟄伏していた徳一老人が、今夜はよくも這い出して来て今までがみがみ喚き散らした所だった。