Japanische Klassiker mit Furigana
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もぐらとらくばん
土鼠と落盤
黒島 伝治
Lesen Sie 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.823 Zeichen · 36 Bildschirme
「くそッ! じゃ、もう検査はないんかい?」
「すんじゃったんだ。」
「見まわりにも来ずに、どうしてすんだんだい?」
「略図を見て、すましちゃったんだ。馬鹿野郎!」
「畜生!」
坑夫等は、しばらく、そこに茫然と立っていた。
川下の、橋の上を、五六台の屋根のあるトロッコが、検査官や、役員をのせてくだって行くのが、坑口から見えた。トロッコは、山を下ることが愉快であるかのように、するすると流れるように線路を、辷っていた。井村は、坑内で、自分等が、どれだけ危険に身をさらしているか、それを検査官に見せ付てやろうとしたことが、全く裏をかゝれてしまったことを感じた。畜生! 検査官など、何の役にも立ちやしなかったんだ! はじめっから、何の役にも立ちやしなかったんだ! 彼は、やっと、それをのみこんだ。役員とぐるになったって、決して、俺等の味方にゃならんものであることが分ってきた。
「これから、又、S町で二次会だぞ。」
阿見は、相かわらず、ずるげな、同時にこころよげな笑いを浮べながら、酒くさい息を坑夫達の顔にゲップ/\吹きかけた。
(一九二九年十月)