Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじょう

地上

島田 清次郎

Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme

Aozora Bunko

冬子さんを一生手離すのには、矢張りあなたの方でもいろ/\何があるでしょうから――」

「ええ、それはもう勿論、今冬子に行かれては実際、わっしの方も困るので――」

「それはもう、冬子さんからも聴いてみますと未だ二年ばかりも勤めなくちゃならないのだそうですから、その辺はお察ししますが、一体いくらで自由になさるおつもり?」

(一体幾千で)ああその言葉に呪いあれ! と冬子は思った。

「それは――主婦さん、二箱より下では離せませんな」

「しかし、それでは冬子さんもあんまり立つ瀬がなくなりはしないでしょうか」

「さあ、安いもんですぜ。あれだけの女に仕上げる苦労を考えてごらんな」

二箱――二千円。凡ゆる忍耐、凡ゆる屈辱、魂と生命の切り売り、その長い辛労の後ではないか。しかもさらに二千円の償いを取る理由がどこにあろう。二千円という金で価値づけられることも悲しいが、二千円を貪り取ろうとする楼主の心も憎い。

「二箱を欠けちゃ第一天野の旦那様にしてからが、みっともないではないでしょうかな」

冷酷な、利害の要をしっかり把って放さないような声である。

「それじゃ、ようございますわ。そう申し上げますから」