Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
村は杉や樅や樫の喬木林によって囲まれ、烈しい冬の風雪や、真夏の灼熱した日光から、それらの樹木は村と村人とを護って来ていた。それはいつの頃から知ったともなしに、お光が十六、七の娘の時分には、この村の久しい昔からの成立や村とお光の生家との関係がはっきり会得されていた。大川村はお光が生まれない昔の頃は同じ加賀平野に存在しながら付近の村々から孤立して生活していた。千年も二千年もの昔、まだ村一帯が雪の深い曠原であった頃、(平家の残党であるともいう)一群の南方より漂泊い来た人達が、この辺の曠野の広大さに、放浪の草鞋を脱ぎ捨てたのがこの村の草創であった。耕すに比類のない豊かな処女地、処女地に潜む新鮮な生産力、――しかし何分にも一群の人数が少なすぎた。人間の数が一群には必要だった。人間に人間を創る方法は一つしか授けられていなかった。交通しあう部落は大川村の近くに見出されない、少数の男と女は新しい同族の出生に、自分達して努力するよりほかに道がなかった。長い放浪の旅は女性の数を少なくしていた。親と子、兄と妹、姉と弟、叔父と姪、叔母と甥、祖父母と孫、友人の妻、友人の夫、主人の妻、臣下の青年――どうにも仕方なかった。