Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
――土蔵の後ろで少し陰気ですけれど、中学へ出る息子さんがいらっしゃるそうで、勉強の都合もあるだろうと思って、冬子と相談してあすこをお部屋に定めて置きましたが、塩梅はどうでしょうか」
「ええ、結構でございます」
「あすこを息子さんの勉強室にしといて、仕事は前二階でも奥二階でも住みいいところで仕事して下されば――息子さんはおいくつで?」
「今年十五になったばかりで」
「それはまあ。わたしなんぞはこうした稼業の罰で未だに子無しでございますが。ほう、女の手一つで十五まで育てあげるのはどうしてなか/\並大抵な苦労じゃないのですわね。ほう、そしてお連合いはいつ頃亡くなりなすったので」
「もう十一、二年にもなりますでしょうか」
「えらい!」と女将はお世辞でなく驚嘆して、心からしげ/\と自分とはまるで異なった道を生きて来たお光を凝視した。穏やかな淋しげな微笑が唇のあたりに漂っているのを見た女将は、香ばしい薫の高い玉茶を入れてお光にもすすめ自分も喫みもした。
「これからまた、話し相手になっていただけますかしら」
「わたしこそ」
隣りの社の杉林の緑蔭が日に透されてうつらうつら三人の女性の上に揺らいでいた。