Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
時子はクリームを伸ばしたあとへ、水白粉を顔へなすりこんでいた手を止めてお幸の方を向いた。
「お幸姐さん」と富江が話しかける。
「何ですの、富ちゃん」
「あのね、丹羽さんと吉っちゃんがよろしくって」
「おのろけもいい加減になさいな――早くお湯へ行って来て、晩までに昼寝でもしておかないとまた居眠りが出ますよ」
「はい、はい」
富江は思いがけないお幸の言葉に急に小さくなってしまった。男の傍にいて甘やかされていた心と肉のほどけたしまりがお幸の一言に常態に復帰したのだ。彼女はそっとお幸を見返した。お幸は小っちゃいしなやかな掌へ白粉下をぬらしつつ、顔一面にたたきこんでいた。右手の指の指環の宝石が輝く。(姐さん風を吹かして)と想いながらも、お幸の肉体を美しいと思った。ああした小さい肉体でありながら舞台に立って勢獅子でも踊りぬくときは六尺豊かな男のように見えさせる、お幸の身体に秘めた芸の力をも想ってみた。
「菊ちゃん、お湯へ行かない?」
「ええ、ゆきましょう」
「お湯へいって来ます」
「いっておいで」
二人は出て行った。二人の出て行ったあとへ茂子が暗鬱な顔をして、黙然と這入って来た。