Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいしょくかもなんばん
売色鴨南蛮
泉 鏡花
Lesen Sie 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.926 Zeichen · 28 Bildschirme
」
裏崕の石段を降りる時、宗吉は狼の峠を越して、花やかな都を見る気がした。
「ここ……そう……」
お千さんが莞爾して、塩煎餅を買うのに、昼夜帯を抽いたのが、安ものらしい、が、萌黄の金入。
「食べながら歩行ましょう。」
「弱虫だね。」
大通へ抜ける暗がりで、甘く、且つ香しく、皓歯でこなしたのを、口移し……
九
宗吉が夜学から、徒士町のとある裏の、空瓶屋と襤褸屋の間の、貧しい下宿屋へ帰ると、引傾いだ濡縁づきの六畳から、男が一人摺違いに出て行くと、お千さんはパッと障子を開けた。が、もう床が取ってある……
枕元の火鉢に、はかり炭を継いで、目の破れた金網を斜に載せて、お千さんが懐紙であおぎながら、豌豆餅を焼いてくれた。
そして熱いのを口で吹いて、嬉しそうな宗吉に、浦里の話をした。
お千は、それよりも美しく、雪はなけれど、ちらちらと散る花の、小庭の湿地の、石炭殻につもる可哀さ、痛々しさ。
時次郎でない、頬被したのが、黒塀の外からヌッと覗く。
お千が脛白く、はっと立って、障子をしめようとする目の前へ、トンと下りると、つかつかと縁側へ。
「あれ。」
「おい、気の毒だがちょっと用事だ。