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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

小沢は急に眉を曇らせた。

「あんたの役はいい役やなア」

という豹吉の言葉が、皮肉のようにも、また小沢を責めているようにも聴えたのだ。

なるほど、考えてみれば、小沢は得意の雄弁にものを云わせて、豹吉に自首の決心をさせることに成功したが、もうそれだけで充分満足すべきであった。

が、小沢はなおそれ以上のことを、要求した。ブルウスカイで待っている青蛇団の連中を説き伏せて、一緒に自首しろ――という難題だ。

豹吉にとって、これほど辛いことがまたとあろうか。

むごい――という言葉があてはまる。たしかに、むごすぎる。

さすがの小沢も、

「おれは今血も涙もない、非情の石ころになっているのかも知れないぞ」

と、もはや豹吉の顔を正視するにしのびなかった。

「しかし、心を鬼にして――ということがある」

大阪の市民のため、ひいてはこの国の社会の秩序のため――いや豹吉はじめ青蛇団の連中が、向日葵のように太陽の子に甦生するためにも、心を鬼にして非情の石となって、無理な要求をしなければならぬと、小沢はあわてて自分に言いきかせると、もうきっと冷かな眼をして、

「…………」

豹吉の少女のような美しい、しかし、やや青ざめた顔を、見つめた。