Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
「あたしじゃ話せませんの……?」
と、道子の声は何か鋭く、その鋭さは小沢にはふと意外だった。
「ええ、ちょっと……」
こんどは本当に頭をかきながら、
「――たすけると思って、貸していただけませんか」
道子は急に立ち上って、茶の間を出て行った。
そして、奥の部屋で何やらヒソヒソ言っているらしかったが、やがて戻って来ると、
「折角ですけど……」
お貸し出来ませんわと、悲しそうな表情を唇に見せながら、その唇をキッと噛んだ。
「どうして……」
駄目ですか――という眼で、小沢はちらと道子の顔を見ると、道子はキッと唇を噛みながら暫く、あらぬ方を見つめていたが、やがて、
「著物差し押さえされました」
本を読むような、表情のない声で言って、ふと、微笑むといつものえくぼが浮かんだ。
しかし、そのえくぼには寂しい翳があった。
「えっ……? サシオサエ……?」
咄嗟に、意味が判らなかった。
「執達吏が今うちへ来てるんです」
「ああそれで……」
判った。
さっき玄関で見た三足の男の靴は、サシオサエに来ているのだったかと、判ったが、
「――しかし、どうして……?」
と、疑問は残った。
「兄が高利貸に借金したんです」